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花穂誕生日記念SS その0

お兄ちゃまのペンダント



今朝はとっても寒かったです。
あんまり寒かったから、思わず、お布団の中でぶるぶるって震えちゃって・・・
花穂、それで目が覚めたの

「どうして、こんなに寒いのー」

そう思ってカーテンを開けたら、ちらちらとお空から白いものが降ってて
窓から見えるところはぜーんぶ真っ白でした。

「わあー!雪だあ」

とっても寒かったけど、花穂、思わず窓を開けてしばらく眺めていました。
えへへ、お誕生日に雪が降るってとってもステキだよね。


今日、1月7日は花穂のお誕生日です。
お誕生日には、お兄ちゃまが花穂のお家に来て、いっしょにお祝いしてくれます。

だから花穂、にっこにこで朝御飯を食べてたら、ママが「今日は、雪が降っているから、お兄ちゃん来れないかも・・・」って

えええーーーーっ
そんなぁ

窓の外を見たら、けっこう雪が積もってて・・・
こんなに雪が積もってたら、ほんとにお兄ちゃま、花穂のお家に来れないかも
うわぁーん、そんなのいやだよー

・・・ううん、そんなことない。お兄ちゃまは・・・お兄ちゃまは、きっと来てくれる。
・・・多分、来てくれる、・・・よね・・・


花穂、心配で窓の外をずっと見てました。
もう、なんでこんな日に雪が降るのー
ふえーーーん


・・・


花穂、コタツに入ってお兄ちゃまを待ってたら、いつのまにかコタツで眠っちゃってたみたい。
だから、とつぜん「花穂」って呼ぶ声が聞こえたときね、花穂、てっきりママだと思ってたの
「うーん、ママ、今日のお昼はなーに?」

でも目の前にいたのはお兄ちゃま。

「あれー、お兄ちゃま、どうしてここにいるの?」
「今日は、花穂の誕生日でしょ。お誕生日おめでとう、花穂」

花穂、すっごくうれしかったんだけど、さっきとっても恥ずかしいこと言っちゃったから、お顔が真っ赤になっちゃいました。
お兄ちゃま、花穂のこと変な子だって思っちゃったかも・・・
あーん、花穂、恥ずかしいよぉ

そうしたら、お兄ちゃまは「花穂はお腹がすいているみたいだから、ご飯にしようか」
って、もう、お兄ちゃまのいじわる!
花穂、そんなに食いしん坊じゃないもん。・・・ちょっとだけお腹がすいてたけど



お兄ちゃまと二人でケーキを食べた後、お兄ちゃまは
「はい、花穂にお誕生日プレゼントだよ」
と言って赤いリボンのついた小さな箱を花穂に渡しました。

「ありがとう、お兄ちゃま」
お兄ちゃまのプレゼントってなんだろう?

ガサゴソ
「わぁ!」

お兄ちゃまのプレゼントは、イルカさんのペンダントでした。
ペンダントは、二頭のイルカさんがお互いに向き合ってハート型になってて
右側のイルカさんは青色で、左側のはピンク色で、右の青のイルカさんは左側よりちょっとだけ大きいの

花穂、それをみたらピッてひらめいて・・・

えへへっ、花穂、わかっちゃったよ。
これってお兄ちゃまと花穂だよね。
右側の大きくて青いのがお兄ちゃま。左側のちっちゃくてピンクなのが花穂。

お兄ちゃまに話したら「うーん、そういわれれば、そうかもしれないね」って
花穂は絶対そうだと思うなぁ

えへへっ、これを付けていたらなんだかお兄ちゃまが一緒にいてくれてるような気がするよ。
お兄ちゃま、ありがとう、花穂、大事にするね。


・・・


夜になって、お兄ちゃまは帰っちゃったけど、お兄ちゃまのペンダントがあるからかな?花穂、そんなに悲しくなかったです。
それで、花穂、うれしくって部屋でペンダントをずっと眺めていました。

二頭のイルカさんはとっても仲良しさんで・・・
えへへ、花穂とお兄ちゃまと同じくらい仲良しさんなのかなぁ

そう思いながら見てたら
あっ、このイルカさんってお顔とお顔がくっついているから・・・
えっと、こ、これって、もしかして、・・・キ、キ、キスしてるのー!
えええーーーーーっ!
ど、どうしよう?
このイルカさんって花穂とお兄ちゃまだから・・・
花穂とお兄ちゃまが・・・
キ、キ、キ・・・
きゃあーーーーっ!

花穂、恥ずかしくなってベットの上でゴロゴロ転がりました。
そのときママが「お風呂が沸いたからはいりなさい」って
えへへへ、花穂、ちょっと興奮しちゃった。
早くお風呂に入ろーっと!


・・・


お風呂から上がって、部屋のベッドに腰掛けたとき、ペキッって嫌な音がして、どうしたのかなって思ってみたら・・・

キャーーーーーーーーーーーー
ど、ど、ど、どうしようー
ペンダント、壊れちゃったよー

ペンダントが真ん中から半分に割れて・・・
イルカさんが、仲良しのイルカさんが、二つに分かれて・・・離れ離れになっちゃったぁー
うわーん

花穂、それを見たら、昔、お兄ちゃまと離れて暮すようになった日のことを思い出して泣いちゃったの。
花穂、なんてドジなんだろう
これじゃ、お兄ちゃまに見捨てられちゃうよー


・・・


翌日は学校へ行く日でした。
でも、花穂は朝からずっと落ち込んでいて・・・

ペンダントどうしよう?
お兄ちゃまからのプレゼントが・・・
このままじゃ花穂、お兄ちゃまに見捨てられちゃうよぉ


花穂があんまり落ち込んでいたので、お友達が心配して「花穂ちゃん、どうしたの?」って聞いてきました。
ペンダントを壊したことを言うと「それなら、アクセサリー屋さんで直してもらえば」って

そっかー!
ペンダント直してもらえばいいんだ
そうしたら、イルカさんも離れ離れじゃなくなるし、花穂もお兄ちゃまに見捨てられなくてすむよ
よかったー

花穂、学校が終わるのが待ち遠しかったです。
早く、イルカさんたちを一緒にしてあげなきゃ!


・・・


「あの、これなんですけど、・・・元どおりになりますか?」
花穂、ドキドキしながらアクセサリー屋さんのおじさんに壊れたペンダントを見せました。

「うーん・・・これねえ・・・」
おじさんは渋い顔をしてます。

「これは、新しいのを買い直したほうが安くなるよ。修理するとしたらこれくらいかかるけど・・・」

ガーーーーーン
そ、そんなに、するのぉ
花穂のお小遣いじゃあ、ぜんぜん足りないよう

これじゃあ、イルカさんは離れ離れのままで・・・花穂もお兄ちゃまに見捨てられちゃう



「はあ」
花穂、お店の前で、どうしようって思ってたんだけど、そのとき「花穂、どうしたの」って、・・・えええっ!お兄ちゃま?どうしてここに?

花穂、ペンダントをあわててしまおうとしました。
でも、ポトッて、ふえーーーん、なんでお兄ちゃまの前で落としちゃうのぉ


「花穂、大事にしようって思ってたの・・・ホントにホントに大事にしようって・・・でも、間違って踏んじゃって・・・・・・壊しちゃったの・・・うわーーーーん、お兄ちゃまぁ、花穂のこと見捨てないでぇ」


お兄ちゃまは花穂の頭を撫でてくれて ─えへへ、なんか花穂ちょっとだけ悲しくなくなったよ─ それで「大丈夫、僕に任せて」ってペンダントを持ってアクセサリー屋さんに入っていきました。

お兄ちゃま、もしかしてペンダントを直してもらうのかな?
でも、それだと、花穂のせいで壊しちゃったのに、またお兄ちゃまにご迷惑かけちゃうよぉ


しばらくしてお兄ちゃまはお店から出てきました。
「はい、これ」って差し出したのは、新しくチェーンをつけた青いイルカさん。
あれっ?イルカさん一人だけ!?ピンクのイルカさんは?ええっ?

「花穂、昨日僕に言ったよね。このイルカさんは、花穂と僕だって・・・だから、僕のイルカさんを花穂が持ってて、僕は花穂のイルカさんを持ってるから」
お兄ちゃまは新しくチェーンをつけたピンクのイルカさんを持っていました。


「お兄ちゃま、ごめんなさい。花穂がドジだから、いっつもお兄ちゃまにご迷惑をかけちゃって・・・」
「僕は迷惑になんか思ってないよ。むしろ、花穂のイルカさんがもらえたから、花穂に感謝してるんだ・・・ありがとう、花穂」


・・・やっぱりお兄ちゃまはすごいなぁ
花穂失敗しちゃったのに、なんだか、それで良かったみたいな気分になってきちゃった。



今年のお誕生日はお兄ちゃまから素敵なプレゼントをいただきました。
花穂、お兄ちゃまのペンダント、ずっと大切にするね。
だから、お兄ちゃま、花穂のこと見捨てないでね

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