星に願いを
今日は週に一度の天体観測の日です。
あのね、学校の授業でね、自由研究って言って、３、４人ぐらいでグループを作って、いろいろな観察をしたりだとか、図書館とかで本を見て調べたりだとか、働いている人たちにインタビューしたりだとか、グループで何か一つテーマを決めて、研究することをやってるの
夏休みの前に自由研究の発表会をやることになってて、花穂は、おともだちのみきちゃんたちと一緒に自由研究をやってます。
花穂、最初はお花の観察をしようかなって思ってたんだけど、先生が「普段やらないことを、やってみましょう」って・・・、うーん、花穂、どうしよう？
そしたら、みきちゃんが「星座っておもしろい話が多いよね」って言ったら、「それ良いね」ってみんなが、みきちゃんに賛成して
それじゃあ、星座について調べてみようよってことになったの
星座の伝説については、図書館で本を読んだりして調べられるけど、やっぱり、実際の星空を観察して記録するのもやったほうが良いよね、ってみんなで話し合って
それに、実際に見られる星座について調べたほうが、みんなも興味わくんじゃないかって、みきちゃんが言い出して、それで、花穂たちは週に１回、みんなで集まって、天体観測することにしました。
天体観測はもちろん夜にならないとできません。
夜、花穂たちだけじゃ危ないからって、花穂のママとお友達のママも一緒に天体観測にくるんだよ
だから天体観測の日は、ちょっとしたパーティーみたいな日になってるの
最初、ママは行きたくないみたいだったんだけど、お友達のママたちとおしゃべりするのが楽しいみたいで、最近では、ママの方が天体観測に行きたがってます。
この前なんか、花穂たちの天体観測が終わったのに、ママたち、ずーっとおしゃべりしてたんだから
あっ、でも、花穂たちもあんまり真剣に天体観測してなくて、ずーっとおしゃべりしてたことがあったっけ・・・えへへ
うーん、やっぱりこれじゃイケナイよね
よぉーし、今日は、ちゃんとやろう！
今日は夜も晴れていて、星がとってもキレイに見えました。
星を見ていると、お兄ちゃまと一緒に星を見にいったときのことを思い出します。
あの日は、とっても寒かったけど、お兄ちゃまと手をつないでいたときは、ぜんぜん寒さを感じなくって、手のひらから、お兄ちゃまの温もりが伝わってきて、花穂、ホカホカな気分でした。
「お兄ちゃま、今ごろ何してるのかなぁ」
花穂の大好きなお兄ちゃまは、今は遠いところに暮らしていて、ときどきメールやお手紙は来るけど、花穂は１年以上、お兄ちゃまと会ってません。
花穂、ちょっぴりだけ寂しいけど・・・
でも・・・
お兄ちゃまとは、遠く離れてるけど
同じ星空の下に、お兄ちゃまはいるんだよね
そう考えたら、花穂、ちょっとだけ寂しさがなくなったよ
それに、お空の星はどこででも見られるから、もしかしたらお兄ちゃまも花穂と同じ星を、今見てるかもしれない
そうだったらいいなぁ
だって、それは、花穂とお兄ちゃまが同じだってことだもん
遠く遠く離れてても、花穂とお兄ちゃまが同じことしてるってすごいことだと思うの
そのときね、みきちゃんが「あっ、流れ星！」って叫んで・・・
空を見ると、ヒューーーって光が流れていくのが見えたの
花穂、流れ星って、あんまり見たことなかったから、とっても感激しちゃった
「わぁ、キレイだったね」
「あーあ、お願い事すればよかった」
「ホントだね、もう一回、流れ星こないかなぁ」
そしたら、また、ヒューーーって、また流れ星が
ヒューーー
ヒューーー
ヒューーー
「わぁーーーーっ！」
みんなで、いっせいに声をあげました。
だって、去年見た花火大会みたいに、次から次へと流れ星がきたんだよ
後で聞いたら、その日は流星群の日だったんだって
花穂たち、いっぱいの流れ星を見たら、天体観測のことを忘れて、お願い事をいっぱいしちゃいました。えへへへっ
花穂、転ばないようになりたいです
チアの技が上手くできるようになりたいです
お花さんが元気に育って、キレイに咲いてほしいな
それから、また、太ったみたいなので、ダイエットが成功しますように
花穂、算数が苦手だから、普通ぐらいにできるようになりたいです
最近始めた、お料理がもっと上手にできるようになりたいです
それから・・・
お兄ちゃまが・・・
お兄ちゃまが元気でいられますように
お兄ちゃまが、花穂のこと忘れないでいてくれますように
お兄ちゃまに・・・花穂、お兄ちゃまに・・・会いたい、です。
・・・
流れ星さん
花穂のお願い、かなえてください
「花穂ちゃん？・・・泣いてるの？」
「グスッ・・・花穂、泣いてなんか、ないよ」