トップページに戻る

「花穂ストーリーズ」に戻る


花穂誕生日記念SS その8

チアの心


たいへん、たいへん、たいへーん!
花穂、お寝坊しちゃったよぉ
今日は、野球部の大事な試合があるから、チア部、応援しに行くことになってたのにー!


でも、花穂がお寝坊しちゃったのには、ちゃんと理由があるの
それは、昨日、お兄ちゃまから花穂にお手紙が届いたからなの
花穂、すっごくうれしくって、何回も何回もお兄ちゃまのお手紙読んだんだぁ。えへへへっ

それでね、お兄ちゃまも、この前の流星群、見てたんだって
「花穂も、この流れ星を見ていたら、うれしいな」ってお手紙に書いてあって
うわぁ!花穂、すごい感激!
だって花穂、あのとき、この流れ星をお兄ちゃまも見てたらいいなぁって思ってたんだもん
そしたら、お兄ちゃまも花穂と同じ気持ちだったなんて・・・
わぁーい!花穂、とってもうれしい!

それで、花穂、お兄ちゃまにお返事を書かなきゃって、お手紙を書いてました。
花穂、お兄ちゃまにお知らせしたいことが、いっぱいいっぱいあるから
あれも書かなきゃ、これも書かなきゃって、いっつも時間がかかちゃうんだぁ。えへへ
それで、けっこう夜遅くなっちゃって・・・
花穂、起きたら、試合が始まる時間だったの

今朝は、ママ、御用があるからって、朝早くから出かけたし
花穂、目覚まし時計をセットするの忘れてて・・・花穂、起きれなくって
ふえーん、花穂、最近ドジしてなかったのに、どうして、こんな日に限って・・・もう!花穂のおバカ!



花穂、とにかく、試合のある球場にいかなくっちゃって思って、荷物を持って家を飛び出しました。


球場につくと、なんだか、ヘンな雰囲気
あれれ?チア部のみんなの声が聞こえない
相手チームを応援する声は聞こえるのに・・・

花穂、急いで球場の中に入って、チア部のみんながいる応援席の方へ行きました。
どんどん、近づいていったら、チア部のみんながヘンなの
応援してるっていうより、カタチ通りに体を動いてる感じに見えて・・・
みんな、どうしちゃったの?


「はぁ、はぁ、遅れて、ゴメン、なさい」
「あっ、花穂先輩・・・今頃来ても、もう遅いですよ」
「ううっ、虎木さん、ゴメンなさい」

みんなのところに行ったら、花穂、すごく不安になってきました。
なんか、みんな、元気なくって、暗い顔してる・・・どうしたんだろう?

そしたら、虎木さんはスコアボードの方を指さして
「あと1点とられたらコールドゲームで終了ですね」って

白並木学園:1
黒山学院:10

スコアボードを見たら、花穂たちが応援する方が大差で負けてました。

よく見たら、野球部の人たちは、もうあきらめちゃったような顔をしてて、動きもなんだかぎこちないし
応援席にいる人たちを見たら、みんな元気がなくって、ただ座ってるだけみたいな感じで
中には席を立って帰り始めた人たちもいて・・・

そんなぁ、まだ、試合は終わってないのに!


このままじゃ・・・
このままじゃあ、ぜったいにダメだよ!
このまま終わったら、今までがんばってきたことが全部ダメになっちゃう

そう思ったら、花穂、チア部のみんなに向かって言ってたの

「負けそうなときだからこそ、チアが応援してあげないといけないの!
負けそうになったときって、辛くって、苦しくって、もういいやって、つい思っちゃうんだけど
そんなとき、応援してくれる人がいれば、最後までがんばってみようって気持ちになるんだよ。
応援する人たちが最初にあきらめちゃったら、みんながんばれないよ!」


花穂、もう、いてもたってもいられなくなって、着ていた服のまま、応援台の上に昇って、大きな声で叫びました。

「フレー!フレー!しらなみきー!
がんばれ!がんばれ!しらなみきー!
まだ、終わってないよ!
みんな、最後までがんばってー!」


花穂が応援始めたら、野球部の人たちは、最初驚いてたけど、だんだんと元気な顔になってきて、前とは見違えるくらい良い動きをするようになったの

よかったぁ、花穂の声が届いたんだぁ

「みんな、がんばって!」

そしたらね

「フレー!フレー!しらなみきー!
がんばれ!がんばれ!しらなみきー!」

チア部のみんなが、花穂に合わせて応援を始めてくれました。

「フレー!フレー!しらなみきー!
がんばれ!がんばれ!しらなみきー!」

そして、応援席にいた人たちも、花穂たちと合わせるように、応援してくれて
帰ろうとしてた人も、応援席に戻ってきて、花穂たちと一緒に応援してくれたの

「フレー!フレー!しらなみきー!
がんばれ!がんばれ!しらなみきー!
みんな、最後までがんばってー!」


・・・


結局、試合は負けちゃったけど、試合の後、野球部の人たちが花穂たちのところにきて
「試合には負けたけど、キミたちが応援してくれたおかげで、悔のない試合ができたよ。ありがとう」って
野球部の人たちは、とっても清々しい顔で言いました。

花穂、最後の最後にちょこっと応援しただけなんだけど、それでも応援してよかったなって思いました。


あっ、そうだ!
今日の事を、お兄ちゃまへのお手紙に書いちゃおう!
花穂の応援で、がんばれた人がいたことをお知らせしたら、きっとお兄ちゃまも喜んでくれるよね・・・えへへへっ



それで、花穂、帰ろうと思ったんだけど、虎木さんが話しかけてきたの

「花穂先輩。・・・あの、・・・せっかく来たのに、残念でしたね」
「ううん、花穂、来てよかったよ」
「でも、試合は負けてしまったし・・・」
「試合は負けちゃったけど、みんな最後まであきらめずにがんばったから・・・だからとっても良かったと思うよ」

「・・・あの・・・花穂先輩は、どうして、そんなに応援できるんですか?」
「え!?・・・うーんとね、花穂にはいつも応援してくれる人がいたの。
花穂が、辛いとき、悲しいとき、苦しいときはいっつも助けてくれて・・・
そうしたら花穂、とっても勇気が出てきて、今までできなかったことが出来ちゃったりしたんだぁ。
だから・・・だからね、花穂、みんなを応援したいの。
もうダメだってあきらめかけている人に、もう一回がんばろうって気持ちになってもらいたいから。
あのときもっとがんばってればよかったのにって、後悔してほしくないから。
だから、花穂はみんなを応援してるの」
「・・・」

「虎木さんは、誰かを応援したくってチアをやってるんでしょ?」
「えっ!?・・・私は・・・その」
「誰もいないの?」
「それは・・・その・・・」
「だったら、花穂と一緒にみんなを応援しようよ!虎木さんキレイだから、応援してあげたら、みんな喜ぶと思うよ」

花穂、思わず虎木さんの手を取ってそう言ってました。
そしたら、虎木さん、真っ赤になって下を向いちゃって・・・
もしかして虎木さん、てれてるのかなぁ
うふふ、虎木さん、すごくカワイイ!

虎木さん、花穂と話すとき、今までは、ちょっとキツイ感じがしてたんだけど、今ではそんな感じはぜんぜんしなくなりました。
もしかして、花穂、虎木さんと仲よくなれたのかな?
そうだったらいいなぁ


感想などを、メールで送ってもらえれば、管理人は狂喜乱舞いたします。