冬の季節が、終わりを迎えています。
暖かく、穏やかな風が吹くようになりました。
空も、とってもよく晴れています。
きっと…
きっと、春はもうすぐそこまで・・・可憐たちの街の近くまで・・・来てる、よね?
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お兄ちゃんへ
もうすぐ冬も終わりですね
あのね、お兄ちゃん・・・可憐たちと一緒に春探しに行きませんか?
可憐、今年はお兄ちゃんと一緒に春を向かえたいなぁ
お兄ちゃん、どうかな?
お返事待ってます。
可憐より
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〜春のちょっと前〜
今日は、花穂ちゃんとお兄ちゃんと可憐の三人で春を探しに行くことにしました♪
最近、だいぶん暖かくなったし、風もそんなに冷たくなくなってきています。
だから、きっと街のどこかに春がやってきてると思うんです。
でも、どこへ行けば春がみつかるかなぁ?
「公園にはお花さんがいーっぱいいるよ」
花穂ちゃんがそう言ったので、まずは公園に行くことにしました。
「春さがしって…どうやって春を探すんだ?」
お兄ちゃんは、何をしていいかわからないみたい。
それはそうだよね。
だって、可憐も春さがしをしたことがないんだもん。
それで、とにかく、みんなで公園中を見てまわったんだけど・・・
「お兄ちゃま、ここには何にもないね」
「そうだな…」
桜はまだつぼみのまま。
周りのお花たちも、まだ咲いていなくて・・・
もちろん、ちょうちょも飛んでいませんでした。
「そうだ、お兄ちゃん。河原には桜並木があったよね」
可憐、去年河原でお兄ちゃんと一緒に桜を見たことを思い出しました。
あのときの桜並木。とってもきれいだったなぁ♪
そこで、可憐たちは次に河原に向かいました。
でも…。
「ここにも、何もないね…」
こんなにいっぱい桜の木があるのに、咲いている桜は一本も見つかりませんでした。
どれも枯れ木みたいに元気がなくって・・・可憐、それを見てたら、なんだか寂しい気分になってきちゃった。
「どこも、まだ春は来てないみたいだな…」
「うん、残念だね…」
花穂ちゃんも、肩を落としてがっかりしていました。
それから、街のあちこちを歩きまわったけど・・・結局、何も見つからなくって・・・
「ゴメンね、お兄ちゃん。可憐たちが無理に誘って来てもらったのに、何も見つからなくて・・・」
「まあ、しかたがないよ。そんなすぐに春になるわけじゃないし・・・でも、きっと次に春探しをするときは、見つかると思うよ」
「うん・・・えっ、次?」
「ああ、また今度、春探しをするんだろう?今度も僕を誘ってね」
そう言って、お兄ちゃんはウインク
・・・やっぱり可憐のお兄ちゃんは世界一ステキなお兄ちゃんです!
お兄ちゃん、大好き(はぁと)
夕方になったので、家に帰ることにしました。
花穂ちゃんをお家まで送っていった後、可憐のお家に帰ろうとしていたとき
「可憐ちゃん、お兄ちゃま、待って〜!」
花穂ちゃんに呼び止められました。
「あのねあのね…花穂、春を見つけたの♪」
「どこにあるんだ?」
「こっちだよ!」
花穂ちゃんが向かった先は・・・
あ! もしかして…。
「わあぁぁぁ…」
やっぱり
「ああ、そうかここか・・・大事な所を忘れてたよ」
「うん、そうだったね」
そこは花穂ちゃんの家の花壇。
ここで、お兄ちゃんと花穂ちゃんと可憐の三人でパンジーを育てていたんです。
そのパンジーの芽が、ほんのちょっぴりだけだけど、出ていました。
桜よりも早く、ここに、ほんのちょっぴりだけだけど、春が来ていました。
「今から花が咲くのが楽しみだね♪」
花穂ちゃんも、春を見つけられてとっても嬉しそう♪
「うん、可憐も楽しみ♪」
「じゃあ、花が咲いたら三人で見に来ようよ♪」
「うんっ♪」
お兄ちゃんと花穂ちゃんと可憐の、三人の小さな約束。
もうすぐ街に春がやってきます。
お兄ちゃんと花穂ちゃんと可憐・・・三人一緒の春が、もうすぐやってきます。
この作品はナオヤさんとの合作です。