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じいやの代わりに


「いけません!いけません!いけません!」
三角お目目のコワーイ人が亞里亞をにらみつけていました。

「さあ、コレを食べてください」
「亞里亞、すっぱいのはキラーイ。くすんくすん」
「そんなわがままばっかり言ってると、イジワルきつねになってしまいますよ」
「くすん、亞里亞、イジワルきつねにはならないもん」
「さあ、はやく!」
「兄や、助けて。兄やー」

・・・

「にいやぁ・・・」
「亞里亞、おはよう」
亞里亞が目を覚すと、ベッドの側には兄やがいました。

「わぁ、兄や。兄やは亞里亞を助けに来てくれたの?」
「?・・・えっと、今日は、じいやさん、ちょっと具合いが悪くってお休みなんだ。だから、今日は僕が、じいやさんの代わりに、亞里亞のお世話をするよ」
「兄や、今日は亞里亞とずーっと一緒なの?うわぁーい!」

亞里亞は兄やのことがだーい好きです。
兄やは亞里亞のことしかったりしないし、亞里亞のお願いを何でも聞いてくれるし、いつもいいものを亞里亞にくれるの。


「亞里亞、歌のレッスンの時間だよ」
「亞里亞、兄やと遊びたいの・・・くすん」
「レッスンが終わったら一緒に遊んであげるよ。それに僕は、亞里亞の歌が聞きたいな」
「それなら、亞里亞、お歌のレッスンします」

今日のお歌の先生は、メガネをかけた女の人でした。
先生は、ピアノを弾きながら「この音に合わせて歌いましょうね」って言いました。

ポロロン、ポロン、ポロロロン
あああー、あああー、あーあああー

しばらく亞里亞が歌っていると、窓の側に立っている木の枝に小鳥さんがやって来て
チチチッ、チッ、チッ
楽しそうに歌い始めました。

わぁ、小鳥さん、亞里亞と一緒に歌いたいの?
亞里亞、うれしくなって窓際に行きました。

そして、窓を開けて・・・

らららー、らーらー、ららららー
チチッ、チッ、チッ、チッ

亞里亞、小鳥さんと一緒に歌いました。

ららー、らーららー、らららーら
チッ、チチッ、チチッ、チッ
らららー、らーらー、ららららー
チチッ、チッ、チッ、チッ

・・・

小鳥さんは、しばらく亞里亞と一緒に歌った後、お空へ飛んでいきました。
バイバイ、小鳥さん、また亞里亞と一緒に歌ってね。


「亞里亞、すごく上手だったよ」
兄やが亞里亞の歌を誉めてくれました。
亞里亞、とってもとってもうれしかったです。

「兄やも一緒に歌う?」
「あはは、今日は、もう歌のレッスンは終わりだって、先生は帰っていったよ」
兄やは、ちょっとこまったような顔で言いました。
兄や、お歌は好きじゃないのかな?

・・・

「兄やー、こっちー」
今日は、お天気が良いので、お庭で兄やと遊びます。

お庭のお花畑では、キレイなお花がいっぱい咲いていました。
「うわぁー、いいにおい」
それに、お日さまがニコニコしてて、なんだかポカポカしてきます。
兄やのおひざの上に座っていたら、ふあぁぁ、亞里亞、ネムイネムイになってきました。

そのとき、黄色いのが、目の前をひらひらと飛んでいって・・・
わぁ、ちょうちょさん、まってー

「あっ!」

コテン

「亞里亞、大丈夫かい?」
「くすん、にいやー、だっこー」
「はいはい、よいしょ・・・うーん、怪我はないみたいだね」
「はい・・・でも・・・お洋服汚しちゃった・・・くすん。兄や、亞里亞のこと、しかったりする?」
「ううん、そんなことしないよ。亞里亞に怪我がなくてホッとしたよ」

わぁー、やっぱり兄やは優しいから好き。
じいやだったら、きっと亞里亞のこと、コワーイ顔をして怒りだすの
「亞里亞さまがいきなり走りだすからですよ!もう、お洋服まで汚してしまって!」

だから、亞里亞、兄やに言いました。
「じいやがおびょうきで、兄やが来てくれるなら、じいや、ずーっとおびょうきだったらいいのに」

すると、兄やは、亞里亞がこの前、おびょうきになったときのことを話しました。
じいやは、亞里亞のこと、いっしょうけんめいに看病してくれたって兄やは言いました。

「兄やが亞里亞のおびょうき、直してくれたんじゃないの?」
「じいやさんの看病のおかげだよ。だから、亞里亞もじいやさんにお返ししてあげないとね」
「はぁーい」

・・・

亞里亞がお粥を持ってじいやの部屋に行ったら、じいや、お目目をまんまるにして驚いていました。
「じいや。亞里亞、お粥作ったの」
「亞里亞さま、どうしてここに?」

亞里亞、じいやに「亞里亞がおびょうきのとき看病してくれてありがとう」って言いました。

「じいや。今度は亞里亞が看病してあげるから、はやく良くなってね」
「亞里亞さま・・・こんなにご立派になられて・・・私は、ううっ(←号泣)」

クスクス・・・じいやはいつも亞里亞のこと泣き虫さんって言うけど、じいやも泣き虫さんです。

でも・・・
「兄や、亞里亞のお目目、三角になってる?」
「ううん」

「ねぇ、兄や。亞里亞、三角お目目じゃないのに、どうしてじいやは泣いてるの?」


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あとがき

今回の見所は、じいやさんの号泣シーンです(笑)
「メイド生活25年!私、こんなにも感動したことはありません!」というセリフを入れようかと思いましたが、ちょっとネタがビミョウだったので止めました


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