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あにぃの靴


明日は"お兄ちゃんの日"。
ボク、あにぃと何しようかって、もう今からワクワクドキドキなんだ!

うーん、明日は天気が良さそうだし、町外れの丘の上までサイクリングに行こうかな?
近くの河原で魚釣りするのもいいかもしれないし・・・
それとも、公園で、一緒にインラインスケートやスケボーをやるのもいいかな?
あっ、そうだ!サッカーの練習につきあってもらっちゃおうかな・・・えへへ。

それで、ボク、いろいろ道具をそろえていたんだけど、お母さんに「お掃除手伝って」って言われて、ボク、玄関の掃除をやることになったんだ。


あにぃが来るんだから、やっぱりキレイにしとかないとね。
よぉーし!玄関をピカピカにしてあにぃを驚かせちゃおっと!

お掃除しようと思って、下駄箱の中を見たら・・・
あ、あはは
ボク、こんなに靴持ってたっけ?

ボク、よく走り回ったりしてるから、すぐに靴がだめになっちゃうんだよね。
それに新製品のランニングシューズを見かけたら、我慢できなくなって、つい買ってもらったりして
うーん、やっぱり、ちょっと買いすぎかな・・・てへへ

それで、下駄箱の整理をしてたら
「あれ?ボク、こんな靴持ってたっけ?」
とってもちっちゃな靴を見つけたんだ。

うーん、なんか見たような気もするけど、ボク、こんな靴持ってた覚えがないなぁ


お掃除が終わって、お母さんに聞いたら、これ、あにぃの靴なんだって!

あにぃがちっちゃいころ履いていた靴。
あはは、あにぃのとっても小さい!
あにぃも昔はこんな靴を履いていたんだね。

この靴を見てたら、ボク、ちっちゃい頃のあにぃを追い越したんだって
ボクも成長したんだなって、思って・・・
えへへ、ボク、ちょっとはあにぃに近づけたかな?


そして、"お兄ちゃんの日"。
あにぃと一緒にお昼ゴハンを食べた後、公園で遊ぼうってことになったんだ。

「あにぃ!はやく!はやく!ふふっ、はやくしないとおいてっちゃうぞぉ!」
もう、あにぃ、何やってるのかな?ボク、もう待ちきれないよ!

玄関であにぃを待ってたら、ふと、あにぃの靴が目に入って・・・

うわぁー、あにぃの靴、大きい。

えへへ・・・あにぃの靴、ちょっと履いてみようかな?
ちょっとだけ、だから・・・

よっと・・・
あはは、ぶかぶか!
あにぃって、結構足大きいんだね。


そのとき、ボク、昨日のあにぃの靴を思い出したんだ。

ボク、あにぃに近づいたかなって思ったのに・・・
あにぃのこの靴、とっても大きくって・・・

そりゃそうだよね
ボクが大きくなるのと同じに、あにぃも大きくなってくんだし・・・

「4センチ、か・・・」

たった数センチの差なのに、それがとっても大きな差に思えて・・・
あにぃとボクの距離がすごく大きくなった気がしたんだ。

ボク・・・


「衛、どうしたんだい?」
「えっ!」

いつのまにか、あにぃが後ろに立ってた。

「いや、僕の靴、履いてるから、どうしたのかなって」
「えっ!・・・あっ!えっと、これは、その、あの・・・」

ああっ!ボク、あにぃの靴履いたままだった・・・ど、どうしよう・・・

「ええっと・・・あの・・・その・・・あっ、そうそう、あにぃ、いい靴履いてるんだね、てへへ」

なんとかごまかしたけど、あにぃ、なんだか不思議な顔してた。
うわーん、どうしよう、あにぃにへんなとこ見られちゃったよ。
ボク、恥ずかしい・・・


それから、あにぃと一緒に公園に行こうとしたんだけど、あにぃが途中でお店に寄ろうって言って・・・

「衛。靴買ってあげるよ」
「えっ、ほ、ほんと!・・・でも、どうして?」
「さっき、僕の靴を履いていたから、新しい靴、ほしいのかと思って」

ううっ、ボクそんなつもりじゃなかったんだけどなぁ・・・


それで、ショッピングモールにあるスポーツショップにいったら
うわー、このトレーニングシューズかっこいい!
えへへ、これ、あにぃに買ってもらっちゃおうかなー

その靴を見てたら、ボク、突然思いついたんだ。

二人でおそろいの靴を履いて、一緒に走れたら・・・

うーん、このデザインだったら、男の人でも大丈夫だよね。
よーし!

「ねぇ、あにぃ。あにぃも、この靴を買おうよ!」

二人でおそろいの靴を履いて、一緒に走れたら・・・
そしたら、ボクとあにぃの距離がぐっと近くなるような、そんな気がするんだ

「ねっ!いいでしょ!あにぃ」

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