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花穂の心、衛の心


<<花穂>>

花穂ね、最近思うんだぁ
もうちょっと、運動できたらいいのになーって ─衛ちゃんみたいに─

衛ちゃんは、活発で、スポーツ万能で、男の子に負けないぐらい元気いいの
この前、お兄ちゃまと衛ちゃんと3人で公園に行ったときも・・・

花穂たち、3人で、バドミントンをやってたんだけど、花穂、ほんのちょっとやっただけで、苦しくなっちゃって、すぐ休憩しちゃったの
でも、お兄ちゃまと衛ちゃんは楽しそうに遊んでいて・・・

お兄ちゃまは「衛は元気いいから遊びがいがあるな」って言ってたの
衛ちゃん、いいなぁ
花穂、もうちょっと運動できたら、お兄ちゃまともっといっぱい遊べるのに
それに花穂も衛ちゃんぐらい器用だったら、チアの技、もっとじょうずにできるのになぁ

それにね、衛ちゃんは花穂よりお姉さんなんだけど、とってもカワイイの
今日、お買い物に行ったとき、デパートの洋服売り場で、偶然衛ちゃんを見かけたんだけど
ショーウインドウを覗いている衛ちゃんはとってもカワイイ女の子に見えて・・・

衛ちゃんは、白いワンピースを見てるみたい。これが欲しいのかな?

それでね、花穂、衛ちゃんに話しかけたんだけど

「衛ちゃん、この服欲しいの?」
「ええっ!あっ、花穂ちゃん・・・その、ボク・・・」

衛ちゃん、真っ赤な顔をして走っていっちゃった
もしかして花穂、悪いことしちゃったのかなぁ


それから、衛ちゃん、なんだか花穂を避けてるみたいなの
お食事のときも、衛ちゃんから話しかけてこないし・・・

花穂、どうしようって思いながら、とりあえずお風呂に入ろうと思って、お風呂場に行ったの
そしたらバッタリ衛ちゃんと会っちゃって

花穂も衛ちゃんもビックリして、しばらくお互いに見つめあってたんだけど・・・

うわー
衛ちゃんって、引き締まった体をしてて・・・
花穂みたいにぷくぷくじゃなくって・・・
すらっとしてて、いいなぁ

・・・あっ、こんなにジロジロ見てたらダメだよね
「ゴメンなさい」

花穂、浴室から出ていこうとしたんだけど、衛ちゃん、花穂のことじっと見てて

「衛ちゃん、どうしたの?」

「花穂ちゃん。・・・さわってもイイ?」
「ええっ!」

「・・・あっ、その・・・チガウんだ。ええっと・・・ごめんなさい!」

衛ちゃんは、そう言って、スゴイ勢いで浴室から出ていったの

花穂、よくお友達から「花穂ちゃん、ふっくらしてて気持ちイイ」って言われて、ギュッて抱きつかれたりすることあるんだけど・・・
ふえーん、衛ちゃんも花穂のことぷくぷくだって思ってるんだぁ


お風呂から出た後、リビングに行ったら衛ちゃんがいて
あれ?衛ちゃん、花穂に何か言いたいことあるのかな?

「衛ちゃん、どうしたの?」

「えっと・・・あ、あの、花穂ちゃん。さっきはゴメンね、変なこと言って」
「ううん、花穂、ぜんぜん気にしてないよ」
ホントはちょっぴり泣きそうになったけど・・・

「あの、花穂ちゃん。・・・昼間の、その・・ワ、ワンピース見てたこと、あにぃにはナイショにしててほしいんだ」
「えっ、お兄ちゃまに?」
「お願い!」
「うん、いいけど・・・」

衛ちゃん、どうしたのかな?

あっ、そっか!
衛ちゃん、ワンピース着てお兄ちゃまをびっくりさせようって思ってるんだ
だったら、花穂のを貸してあげるのになぁ

そうだ!花穂のワンピース貸してあげる代りに衛ちゃんのお洋服借りようかな
そうしたら、花穂も衛ちゃんみたいにお兄ちゃまといっぱい遊べるかなぁ



<<衛>>

ボク、最近思うんだ
あにぃってもっと女の子らしい方が好きなのかなぁって ─花穂ちゃんみたいに─

花穂ちゃんはちょっとドジなところもあるけれど、とっても女の子らしくってカワイイんだ
あにぃも花穂ちゃんにはとっても優しいんだよね
この前、ボクとあにぃと花穂ちゃんで公園に行ったときも・・・

ボクたち、バドミントンをやってたんだけど、ボクとあにぃ、ちょっと熱くなりすぎちゃったかな?
花穂ちゃん、疲れちゃったみたいで、「花穂、ちょっと休憩する」って
そしたらあにぃは「花穂、だいじょうぶかい?」ってすごく花穂ちゃんに気をつかうんだよ
うー、あにぃったら、ボクには「ははは、衛、もう降参か」なーんて言うくせに・・・

それから、ボク、あにぃが花穂ちゃんに言った言葉が聞こえちゃったんだ

「花穂、その服、とっても似合っててカワイイよ」って

ボク、動きやすくて転んでも大丈夫なようにって、男の子みたいな恰好してることが多いんだ
スカートのときだって下にスパッツ着たりとかしてるから・・・
やっぱりボクの服、カワイクない、よね

そんなことがあったからかな
今日、お母さんにお使いを頼まれて、デパートに買い物に行ったんだけど
洋服売り場を通りかかったとき、ショーウインドウに飾ってあったものが目に入ったんだ

それは、可愛らしいデザインの白いワンピースで・・・
これを着たら、あにぃ、ボクのこと「カワイイ」って誉めてくれるかな
・・・

なんだか、ボク、真剣に見てたみたい
花穂ちゃんが近づいてきたことにぜんぜん気付かなかったんだ

「衛ちゃん、この服欲しいの?」
「ええっ!あっ、花穂ちゃん・・・その、ボク・・・」

ボク、突然話しかけられてビックリしたのと、ワンピース見てたのを見られて恥ずかしいのとで、思わず逃げ出しちゃった
あー、花穂ちゃん、ボクのことヘンに思っちゃったかなぁ


だからボク、晩御飯のときも花穂ちゃんとまともに話せなくって・・・

でも、このままじゃダメだよね
よーし、お風呂から上がったら花穂ちゃんに話してみよう

そう思ったとき、ガラガラーッて浴室の扉が開いて、花穂ちゃんが入ってきたんだ

ボク、突然のことだったからビックリしちゃって、思わずまじまじと花穂ちゃんを見ちゃったよ

花穂ちゃんの体って
ボクみたいにガリガリじゃなくって・・・
全体的にふわってしてて・・・
でも、ふとってるとかそんなんじゃなくて・・・
とっても、その、オンナの人の体って感じに見えたんだ

ボクとちがってやわらかいのかな?

ボク・・・

「花穂ちゃん。・・・さわってもイイ?」

うわーん、どうしてボク、こんなこと言っちゃったの!

「・・・あっ、その・・・チガウんだ。ええっと・・・ごめんなさい!」

ボク、もう恥ずかしさでいっぱいになって、ダッシュでお風呂場から出ていったよ


あー、花穂ちゃんに会ったらなんて言おう

ボクがどうしようって思ってたとき、花穂ちゃんがやって来て
わわっ、ボク、まだ心の準備が・・・どうやって話しかければいいのかな?

「衛ちゃん、どうしたの?」

あわわっ、どうしよっ
え、ええっと、とりあえず、さっきのこと謝らないと・・・

「えっと・・・あ、あの、花穂ちゃん。さっきはゴメンね、変なこと言って」
「ううん、花穂、ぜんぜん気にしてないよ」

あぁ、よかったぁ
ボク、花穂ちゃんにヘンに思われたらどうしようかって心配してたんだけど、ボクの考えすぎだったみたい
・・・あ、そうだ

「あの、花穂ちゃん。・・・昼間の、その・・ワ、ワンピース見てたこと、あにぃにはナイショにしててほしいんだ」
「えっ、お兄ちゃまに?」
「お願い!」
「うん、いいけど・・・」

花穂ちゃん、不思議な顔してた・・・
ううっ、ボクまたヘンなこと言っちゃったかなぁ
あにぃに聞かれたら笑われちゃうよ

はぁ、ボク、花穂ちゃんみたいに、あにぃに「カワイイ」って言われるように、なれるのかなぁ


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