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花穂のマフラー


カチッ、カチッ
今、夜11時を少し過ぎたところです。

カチッ、カチッ
花穂、こんな遅くまで起きてるのは大みそかくらいなんだけど、今日は特別です。

カチッ、カチッ
「ふぅ、あと少しだぁ」
もう少しで、花穂のマフラーが編み上がります。

明日はお兄ちゃまのお誕生日。
花穂、今年は絶対、手編みのマフラーをプレゼントするって決めたんだぁ

このマフラー、実は去年プレゼントしようって思ってたの
でも、始めるのが遅かったから、去年のお兄ちゃまのお誕生日までには間に合わなくって・・・
結局、去年はお店で買った毛糸の手袋をプレゼントしました。

でもね、マフラーは冬の間に完成させようって思って、続けてたんだけど・・・いろいろ失敗しちゃって
何回もやり直している間にどんどん時間がたって・・・いつのまにか春になっちゃってて・・・
あーん、やっぱり花穂には編み物は向いていないのかなぁ

でもね、花穂、これじゃあダメだって思って、がんばってやり直したの
今年はなんとか間にあいそう!
あと、もう少し・・・

・・・

「できたー!!」
花穂のマフラー、やっと完成したよ!
わぁーっ、とってもステキ!
両手でかざしたマフラーはとっても暖かそうで

・・・ちょっと目がそろってないけど
あっ、ここらへん、ちょっとデコボコしてる
・・・

で、でも、このマフラーには花穂の気持ちがいっぱいいーっぱい編みこまれているの
だからきっと、花穂のマフラーをしてたら、お兄ちゃま、この冬はずーっとぽっかぽかだよね
えへへっ
お兄ちゃま、よくできたねって花穂のこと誉めてくれるかなぁ


翌日、花穂、マフラーを綺麗にラッピングして学校へ持って行きました。
夜、お兄ちゃまのお家に行くお約束はしてあるんだけど
花穂、一秒でも早くお兄ちゃまにお届けしたいから・・・
えへへっ、早く、放課後にならないかなぁ
お兄ちゃま待っててね。


そして放課後になって
花穂、お兄ちゃまの学校まで行きました。

校門のところで待っていると
「花穂ー」
あーっ、お兄ちゃまだぁ

「お兄ちゃまーっ・・・あ、あのね・・・えへへっ、コレ!お兄ちゃまにお誕生日プレゼント!」

お兄ちゃまは「花穂、ありがとう」って言って包みを開いて・・・
あっ、ど、どうしよう・・・花穂、なんだかキンチョウしてきちゃった。

「これ、マフラー?」
「う、うん、花穂が、編んだん、だ、けど・・・」

お兄ちゃま、花穂のマフラーをじっと見て
あっ、そこは、最初の方に編んだところだから、あんまりうまくできてない・・・
あーん、そんなにじろじろ見たらヘンなところが見えちゃう

ううっ、やっぱり、お店で買ったほうがよかったのかなぁ

そしたらお兄ちゃまはマフラーを触りながら
「うーん、これは・・・確かに花穂の編んだマフラーだね」って
うー、お兄ちゃまのイジワル、どうせ花穂、編み物へたっぴだもん

花穂がそういったら
「あはは、そうじゃないよ」って、お兄ちゃま、花穂の頭を撫でてくれて
「このマフラー・・・花穂が僕のために一生懸命編んでくれたんだなーってのがすごく伝わってきて、とっても暖かいよ」
「お兄ちゃま・・・」
「ありがとう、花穂。これ大事に使わせてもらうから」
お兄ちゃまはそう言うと、また花穂の頭を撫でてくれました。

花穂、あきらめないでマフラーを編み続けてよかった。


その夜、お兄ちゃまのお家でお誕生日会をしました。

花穂、お家からいっぱいお料理を持って行ったの
「これ、ママに手伝ってもらって、花穂が作ったんだよ」って言ったら
お兄ちゃまは「花穂はお料理も上手になったんだね」って
ホントは、ほとんどママにやってもらっちゃったんだけど・・・
よーし!今度はお料理もがんばっちゃお!


それから、明日はお休みなので、今日はこのままお兄ちゃまのお家にお泊まりすることになりました。
えへへっ、花穂、お兄ちゃまと一緒のベッドで眠ってもいいか聞いてみようっと
お兄ちゃまと一緒に眠れたら、花穂、夢の中でもお兄ちゃまをお祝いしてあげるね

「お兄ちゃま。お誕生日おめでとう!」


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