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コタツ



最近、急に寒くなりました。
花穂、寒いのあんまり得意じゃないの
寒いとね、朝、お布団からなかなか出られないこともあって、ママに「花穂ちゃん、早く起きないと遅刻するわよ」って、よく怒られちゃうんだぁ

それに、チア部は、寒い日でも、お外で練習するし・・・
花穂、他の人より、ちょっぴりミスが多いんだけど、寒い日は、いつもよりもミスが多いみたい
チアでね、バトンをくるくるって回す技があるんだけど、花穂、ちゃんとやってるつもりなのに、指が思ったとおりに動かなかったりして、バトンをポロッって落しちゃうこともあるの
すると、先輩が怖い顔で「花穂ちゃん、もっとしっかりやって!」って・・・ふえーん、ゴメンなさーい。

でも、今日は、とくに寒いみたい。
お友達もみんな「今日は寒いね」って言ってました。
学校の外に出ると、冷たい風がピューって吹いてきて・・・ううっ、寒ーい、早くお家に帰ろーっと


学校から帰ってきたら、居間にいつもと違うテーブルが置いてあって、それには、ふんわりと柔かそうな大きいふとんがかけてありました。

「あーっ!コタツだぁ!」

ママは、「寒くなったから、コタツ出したのよ」って

えへへっ、花穂、コタツ大好き!

コタツに入ると、足の先から体の方に、じわーって暖かくなっていって、だんだんと体中がポカポカしてくるの
花穂、コタツに入っていると、とっても幸せな気分になるんだぁ
でも、ときどき、そのまま寝ちゃってることがあって、よくママに怒られるの「こんなとこで寝てたらカゼひくわよ」って・・・えへへ


さっそくコタツに入ろうーっと

ゴソゴソ

うわぁ、あったかーい
やっぱり冬はコタツだよね
えへへっ


そういえば、昔、花穂がちっちゃかったころ・・・
花穂、コタツに入るときは、いつもお兄ちゃまの隣に、ぴったりくっつくように並んで座ってました。
ママは、「お兄ちゃんが狭いからこっちに座りなさい」って言ってたけど、お兄ちゃまは、「花穂が隣にいるととっても暖かいから、べつにいいよ」って言ってくれて
それに、お兄ちゃまは、花穂が「お隣に座ってもい〜い?」って聞いてくることがわかってるみたいで、花穂が横に入れるように、いつも少しだけ端っこの方に座るの。
だから、コタツが出ている季節は、花穂、いっつもお兄ちゃまの隣でした。

テレビを見るときも、おやつを食べるときも、トランプで遊ぶときも、ミカンを食べるときも

お兄ちゃまの隣だと、花穂、とってもポカポカでふわふわな気分になっちゃう

うーん、もしかして、花穂がコタツ好きなのは、お兄ちゃまとずっと一緒だったからなのかなぁ


あ、そうだぁ!

ゴソゴソ

えへへっ
昔、こうやって、お兄ちゃまと一緒にコタツの中に潜り込んで遊んでたなぁ
ママは「やめなさい」って言うから、お兄ちゃまに、ママにはナイショにしてねって、お願いして
コタツの中で見るお兄ちゃまは、普段のお兄ちゃまと違って見えて・・・とっても不思議な気分。
それに、お兄ちゃまと一緒に、コタツの中でお話してるとね、花穂、なんだかいけないことしているみたいで、すっごくドキドキするの


・・・あれっ?お兄ちゃまの事を考えていたからかなぁ
花穂、なんだか体が熱くなってきちゃった。

それに、花穂、ちょっと眠くなってきて・・・

ふわぁ・・・

・・・

・・





「花穂・・・花穂、いないの?」

あれ?今、お兄ちゃまの声が聞こえたような・・・

そのとき、花穂、コタツの中にいたんだけど、突然、目の前に、にゅーって足が入ってきて

「せっかく、買ってきたのに、花穂、どこにいったのかな?」

やっぱり、お兄ちゃまの声だ
それじゃあ、これは、お兄ちゃまの足?

花穂、コタツの中から出ようとしたんだけど
でもね、そのとき、この前のこと思い出したの


この前、花穂、ママに頼まれてお使いに行ったんだけど
お使いの途中、商店街を歩いていたら、たい焼き屋さんから、すごい良いにおいがしてきて・・・
そのお店のたい焼き、アンコがたっぷり入っていて、とっても甘くって美味しいんだよ

花穂、たい焼き屋さんの前で、しばらく見てたんだけど、焼きたてのたい焼きから、ほわーって湯気が出ているのを見てたら、なんだか、お腹すいてきちゃった
ゴックン、美味しそう・・・

そのとき、突然、後ろから「わっ!」って声が聞こえてきて
花穂、ビックリしちゃって、「きゃーーー!」ってスゴイ声を出しちゃったの
そしたら、周りにいた人全員、花穂のことを見て・・・ううっ、花穂、恥ずかしいよう

「あはは、ゴメン、ゴメン・・・そんなにビックリするとは思わなかったから」って、お兄ちゃまは笑いながら言ってたけど、花穂、あのときホントにビックリしたんだからぁ


よぉし!今度は花穂がお兄ちゃまを驚かせちゃう!

突然、足にギュッって抱きついたら、きっとお兄ちゃまだってビックリするよね
えへへっ、まん丸お目目で驚くお兄ちゃまのお顔が見られるかも

もう少し近づいて・・・って、あれれ?
なんだか、体が熱くって、頭がふらふらする
あーん
助けてー、お兄ちゃまぁー

ギュッ

「わわっ!なんだ!・・・って花穂?!・・・なんでこんなところに花穂が・・・お、おい、花穂、大丈夫かい?」
「うーん、お兄ちゃまぁ・・・花穂、もうだめぇ」



花穂が、お兄ちゃまを驚かせようとしてたことを話したら、お兄ちゃま、ちょっと怖いお顔になって「イタズラする悪い子には、コレあげないぞ」って言ったの

「ゴ、ゴメンなさい・・・花穂・・・」

花穂、泣きそうなお顔をしてたら、お兄ちゃまは、いつもの優しい笑顔になって
「ふふふ、冗談だよ。一緒に食べよう」

お兄ちゃまが、持っていたのは、湯気がもわ〜って出ているくらいのほかほかのたい焼きでした。

うわぁー、このたい焼き、とっても美味しそう
お兄ちゃま、ありがとう
それじゃあ、いただきまー・・・

「あの、お兄ちゃまぁ・・・花穂、お兄ちゃまのお隣に座っても、いいかなぁ」


お兄ちゃまと一緒に食べたたい焼きは、とっても美味しかったです。
それに、花穂、お兄ちゃまのお隣に座れて、ココロも体もほっかほかになりました。


えへへっ、今度はお兄ちゃまと一緒に、コタツでミカン食べたいなぁ


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あとがき

12人のうちで一番コタツが似合うのは花穂だと思う今日このごろ
昔、妹と一緒にコタツの中に潜り込んで遊んでいたことを思い出しました。


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