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「えっ!?ちょっとお兄様、それってどういうこと?」
「いや、だから、今年のクリスマスは用事があって・・・」



『お兄様と一緒』



私の誕生日ってクリスマスの近くじゃない?
だから、お誕生日会とクリスマスを一緒にされちゃうことが多かったの

「咲耶ちゃん、お誕生日おめでとう。でも、ママたち、今日はどうしても外せない用事があるの・・・だからお誕生日会はクリスマスと一緒にしましょうね」・・・ってね

でも・・・
でもね、私、そんなに気にしてなかった

だって、私には、お兄様がいたから
お兄様は、ちゃんと私の誕生日にお祝いしてくれたし、クリスマスも私に付き合ってくれてたの

去年の誕生日は、私の家でお兄様と二人っきりで過したし・・・お兄様は「たいしたプレゼントを用意できなくてゴメンね」って言ってたけど、お兄様と一緒に過した時間は、私にとって最高のバースデープレゼントだったわ
それから、クリスマスは、お兄様と一緒に教会でクリスマスコンサートを聞いて過したし

毎年、そんな感じで、お兄様と一緒だったのに・・・
それなのに・・・今年は・・・


お兄様、クリスマスに用事があるって、いったいどういうことなのかしら?
まさかとは思うけど・・・ヘンな女とデート、とか・・・
ダメよ!ダメダメ!そんなの絶対ダメ!
私、そんなこと、絶対に許さないんだからっ!


お兄様を問い詰めたら「クリスマスにはアルバイトする」って
「知り合いの人に、『クリスマスは人手不足だから、お店を手伝ってくれ』って頼まれて・・・その、前にお世話になった人だし、断りにくかったんだ」
・・・ですって

もう、お兄様ったら・・・

でも、それじゃあ、クリスマスの夜に一人きりになっちゃう私はどうすればいいの?


「そのかわり、と言ってはなんだけど、20日は、『Trussardi』っていうイタリア料理のお店を予約してあるんだ」
「えっ!?あそこ?」

私、それを聞いて驚いた
『Trussardi』て言えば、今、人気のデートスポット
予約するのって大変だって聞いたけど

「ははは、いろんなとこに手を回してね・・・結構苦労したんだぞ」

もう、お兄様ったら・・・



そして、12月20日

「誕生日おめでとう、咲耶」
「ありがとう、お兄様」

この『Trussardi』っていうお店、やっぱり人気なだけあって、お料理は美味しいし、落ち着いた雰囲気がとっても良いの
それに、照明のせいかしら?なんだか、お兄様が、いつもと違って大人っぽく見えて・・・
うふふ、私、このシュチュエーションに酔っちゃったのかしら?


「でも、お兄様。よくこのお店知ってたわね?」
「えっ・・・ああ、友達に、このての店にやたら詳しいヤツがいてね。昼飯おごる代りに、いろいろと教えてもらったんだ」

なるほど、今日のデートの段取りがやたらと良かったのも、そのせいなのかしら?
いつものお兄様だったら、自分から、大通りのクリスマスイルミネーションの点灯式を見に行こう、なんて言わないものね

うふふ、お兄様、私のために、いろいろがんばってくれたんだ・・・
そう考えたら、私、ちょっと感動しちゃった。・・・お兄様、ラブよ


「ねぇ、今日は私の家に泊まっていってくれるんでしょう?」
「ああ、クリスマスの分もね」

・・・そうだわ、クリスマスの夜はお兄様と別々だったんだ
なんだかイヤなことを思い出しちゃった

んもう、こうなったら、今夜はとことんお兄様に甘えちゃうんだから


・・・

お食事の後、大通りのクリスマスイルミネーションを、もう一回見に行って、私の家に帰ってきたんだけど
家についたら、お兄様、急にそわそわしだしちゃって

「あの、咲耶・・・」

お兄様、どうしたのかしら・・・って、もう、お兄様、背中に隠してるつもりで、袋見えちゃってるじゃない
プレゼント渡そうってコトみえみえよ
もっとスマートに渡してくれなくっちゃ、女の子は白けちゃうのよ
・・・って、まあ、そんなところがお兄様らしいんだけど、ね


お兄様のプレゼントは、小さな翼が生えたハート形のネックレス
私の好きなブランドの最新モデルで、私、コレ欲しかったの・・・欲しかったんだけど・・・
でも、私、これチェックしてたから、どれだけ高価なものか知ってるのよね
お兄様のお小遣い程度で買えるような代物じゃないってこと

お兄様、コレを買うようなお金、どうしたのかしら?
お友達からお金借りたの?
それとも臨時収入とかあったとか

・・・臨時収入・・・アルバイト・・・

あっ!もしかして


お兄様はバレちゃったかって顔をして

「ちょっと知り合いに頼んだんだ。クリスマスにバイトするから、バイト代を前借りしたいって」

もう、お兄様ったらゼンゼンわかってないんだから

「私、こんな高価なプレゼントじゃなくても・・・お兄様と一緒にいられればそれでいいのよ」
「でも、大切な妹の、年に一度の記念日じゃないか。ちょっとは兄らしいところを見せたくってさ」

もう、お兄様ったらゼンゼンわかってないんだから

ギュッ

「わっ!咲耶、急に抱きついてきたら危ないよ」
「お兄様・・・ありがとう」

今夜は、クリスマスの分まで付き合ってもらうんだから
覚悟しておいてね、お兄様


・・・


あーん、でもでも、やっぱりクリスマスの夜にお兄様と離ればなれなんて、私、耐えられないわっ!

だ・か・ら・ね



「どう、お兄様。似合うかしら?」
「・・・」

うふふ、お兄様、顔が真っ赤!
でも・・・うーん、ちょーっと刺激的かしら、この服

私が着ているのは、赤と白のサンタ服・・・って言っていいのかしら?
私、クリスマスの夜にお兄様と別々はイヤだから、一緒にアルバイトすることにしたの


「クリスマスケーキ、大特価、販売中でーす!」

うふふ、やってみるまでわからなかったけど、お兄様と一緒に働くのって、とっても楽しい!
そうだ、お兄様。将来は一緒にお店をやりましょうか?
海沿いの通りに小さなアンティークショップを開くの
結構、イケルと思うんだけどな・・・


「やあ、咲耶ちゃん。がんばってるね」
「あっ、店長さん。今日は無理なお願いをしてすみません」
「いや、いいんだよ。咲耶ちゃんのおかげでいつもより売り上げがよくって・・・これなら毎日バイトしてもらいたいくらいだよ」
「うふふ、店長さんたら」
「ケーキ売りきったら、ゴホウビ出すから、頑張ってね」
「はい!がんばります!」

そうなの!
今日、ケーキ売りきったら、バイト代に+αしてくれるって
お兄様との旅行を、よりゴージャスにするためにも、ここはがんばらないとね

「さあ、お兄様。じゃんじゃんケーキ売るわよ!」
「おう!」


あっ、そうそう
私がお兄様と一緒にバイトするって言ったら、お兄様「それは咲耶に悪いよ」って言うのよ
結局、お正月一緒に温泉旅行に行く、ってことでお兄様は納得したんだけど・・・
変なお兄様
私、アルバイトでもお兄様と一緒だからゼンゼン気にしていないのに

まあ、期せずしてお兄様と旅行に行けるようになったから、ラッキーよね


お正月からお兄様と一緒
新しい一年の始まりとしては最高のスタートね

「うふふ」
「?咲耶、どうしたの?」
「なんでもない・・・・・・お兄様」
「ん?」
「メリークリスマス」

今年も、とっても良い年だった、かな

「そして、ハッピーニューイヤー」

お兄様、来年もよろしくね

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