春のプレゼント
もうすぐ春
だんだんと暖かくなってきました。
朝晩はまだまだ寒くって、ときどきお布団からなかなか出れなくて、ママに怒られちゃうこともあるんだけど、お昼頃にはとっても暖かくなってくるの
学校で花穂の席は窓の方だから、お日様の光があたって、体がポカポカしてきて、とっても気持ち良いんだぁ
この前の授業中、あんまり気持ち良かったから、つい居眠りしちゃって先生に怒られちゃったりして・・・てへへ
春は花穂の大好きな季節。
春になれば、お花さんがいっぱい咲くし
お外でアイスクリームが食べれるようになるし
毛糸のパン・・・えへへ、毛糸とかのを着なくても寒くないし
それにお気に入りのワンピースが着られるし!
このワンピースはね、お兄ちゃまに選んでもらったんだよ
薄いピンク色で、胸のところに天使さまの白い翼みたいな模様が入っていて、とってもカワイイの!
そうだ、今日はお天気も良いし、このワンピースでおでかけしようかな?
それで、花穂、お気に入りのワンピースを着て、公園にお散歩に行くことにしました。
うーん
今日は良いお天気でよかったぁ
ときどきひゅーって冷たい風が吹くけど、お日様の光はとっても優しくって・・・
お日様の光を全身に浴びていると、体中がぽかぽかしてくるの
まるで、お兄ちゃまが側にいてくれてるみたい
お兄ちゃま・・・
花穂のお兄ちゃまは、お日様のように優しくって暖かくって、とってもとってもカッコイイの
花穂がドジして泣いてるときに「花穂、大丈夫だよ」って花穂のこと慰めてくれたり
花穂が失敗しちゃったときも「花穂、ガンバレ」って花穂を励ましてくれたり
花穂が困ってるとき、すぐに花穂のところにきてくれて、花穂を守ってくれたり
お兄ちゃまは、いつもいつも花穂のこといーっぱい助けてくれます。
だから、花穂、お兄ちゃまにお返しがしたいなぁって
お兄ちゃまのお役にたちたいなぁって
・・・いつも思ってるんだぁ
でも、花穂、いっつも失敗しちゃうの
この前も、お兄ちゃまが病気になったとき看病に行ったんだけど、お鍋を焦がしちゃったり、お掃除しようとして花瓶壊しちゃったりして・・・
はぁ・・・
このままじゃあ、花穂、お兄ちゃまに見捨てられちゃうよぉ・・・ぐっすん
花穂が、公園のベンチに座って、そんなことを考えてたら、ベンチの側に、小さな小さなお花さんが咲いているのを見つけました。
それは、とってもとっても小さいんだけど、すごくキレイな色で、ときどきひゅーって吹く風にも負けないで立っていて
花穂、それを見たら「うわぁ、もう春が来てるんだね」って思ったんだぁ
カワイイお花さん。もう春なの?
それでね、花穂、思ったの
このお花さんを、お兄ちゃまに持っていってあげようって
このお花さんをプレゼントしたら、お兄ちゃま「とってもすてきなプレゼントをありがとう」って喜んでくれるかなぁ?
えへへ、お兄ちゃま、待っててね
花穂が、お兄ちゃまに春をプレゼントでーす!
でも・・・
でもね、花穂がお花さんを連れて行こうとしたら、お花さんはなんだかイヤそうなお顔をしたの
「お花さん、どうしたの?花穂のお兄ちゃまはとっても優しいから、きっとお花さんもお兄ちゃまのことが好きになると思うよ?」
花穂がそう言ってもお花さんはイヤイヤしてました。
ふえーん、どうしてぇ?
そのとき、後ろから「その子を連れて行かないで」って声が聞こえたような気がして
振り返ると、そこには、手のひらの上にいるお花さんと同じ色の、小さな花がいっぱいいっぱい咲いていました。
花穂、それを見たら、お花さんがイヤがっていた理由がわかったの
「お花さん、お友達とお別れするのがイヤだったんだね」
だから花穂、お花さんをお友達の側に戻してあげました。
「お友達を連れて行こうとしてごめんなさい」
そのとき風がひゅーって吹いて、お花さんたちがいっせいに揺れて、まるで、花穂にありがとうって言ってるみたいだったの
うふふ、お花さんたち。よかったね
お兄ちゃまへのプレゼントはなくなっちゃったけど、花穂、そんなに残念でもなかったよ
だって、花穂、もっとステキなこと考えたんだもん
お花さんをお兄ちゃまのところに持っていかなくても、お兄ちゃまと一緒にお花さんたちを見に来たら良いんだぁ
そしたら、お花さんたちも喜ぶし、お兄ちゃまも喜んでくれると思うの
えへへ、これってとってもステキなことだよね
花穂が見つけた小さな春
お兄ちゃまぁ
花穂と一緒に見に行って、ほしいなぁ
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