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たったひとつの冴えたやり方



今日は、花穂一人で、お花屋さんにお買い物にやってきました。

「うーーーん、どれにしようかなぁ?」

花穂、とっても迷ってます。


あのね、花穂のお家には花壇があるんだけど、今日、ママといっしょに花壇の手入れをやってたら、ママが
「花壇のここにちょっと場所が空いたから、花穂ちゃん、何か植えてみる?」って

花穂、すっごくうれしかったぁ!

だって今までは、花壇に植えるお花は、ママが決めてて・・・あ、ときどきママから「この中のどれがいい?」って聞かれることはあるんだけど、でもほとんどはママが決めてるの
花穂が全部決めていいなんて初めてなんだぁ


それで、花穂、お店に行く間ずっと考えてました。

どんなお花さんにしようかなぁ?
やっぱりママの花壇に合うように、キレイなお花を選んだ方がいいかな?
でも、せっかくママが花穂に選んでいいって言ったから、花穂の好きなの選んだ方がいいのかな?
あんまりへんなの選んだら、ママに「もう花穂ちゃんには頼まないわ」なんて言われちゃうかも・・・
どんなのがいいんだろう?
花穂、迷っちゃうよぉ

あ、でもお店に行ってみたら、きっとぴったりのものが見つかるよね
・・・って思ってたんだけど

「あーーーん。いっぱいあって、花穂決められないよぅ」



そのとき
「こんにちは、花穂」
「あっ!お兄ちゃま!」

わぁ!お兄ちゃまに会っちゃった!
えへへ、花穂、今日ついてるかも

「花穂、今日はどうしたの?」
「あのね、花穂、お花さんの種を買いに来たの」
「へぇ、そうなんだ・・・どんなお花の種を買いに来たの?」
「えっとね、その・・・えへへ、いっぱいあって迷ってて・・・」
「そっか。いっぱい種類があるからね」

お兄ちゃまは花穂の種選びを手伝ってあげるよって言いました。
うわぁー、花穂、今日、すっごくついてるかも



「うーん、どっちがいいかなぁ?」

お兄ちゃまといろいろ相談して、いっぱいの中から、ようやく2つを選びだしたんだけど
こっちの赤いお花は、花びらが大きくて色も鮮やかで、すごくキレイだし
こっちの黄色い方は、ちっちゃいけど、とってもカワイイし・・・
赤いお花さんと黄色いお花さん。
どうしよう・・・花穂、選べないよぉ


そしたら、お兄ちゃまが「じゃあ、2つ買ったらどう?」って

「でもね、花壇の空きはそんなに広くないから、両方の種は蒔けないし、ママには1つだけよって言われてるし、それに、その・・・お金もそんなにないから・・・」
「そっか・・・」

どうしよう・・・でもママとのお約束だし、やっぱりどっちかを選ばないとだめ、だよね
でも、どっちを選べばいいのかな?
うーんと、えーっと・・・
こっちの黄色い方、かな?
でも、そしたら、赤いお花さんは見捨てられることになっちゃうの?
えーん、そんなのいやだよぅ
でも、赤い方を選んだら、黄色いお花さんが・・・

花穂、どうしたらいいんだろう・・・


そのとき、お兄ちゃまが言いました。
「やっぱり両方買おうよ」

「え・・・でも、花穂が買えるのは1つだけ・・・」
「花穂がこっちの黄色い方を買って、僕が赤い方を買えばいいんじゃないかな?」
「お兄ちゃまが・・・うー、でも、2つ買っても、花穂のお家の花壇に両方は、蒔けないよ?」

そしたら、お兄ちゃまはにっこり笑って
「だから、僕が買った種は、僕の家の花壇に蒔くよ」
「えっ!?お兄ちゃまのお家に?」
「うん。それだったら、どっちかが見捨てられちゃう、なんて悩まなくていいだろう?」

わぁ、そっか!それならどっちにしようか悩まなくていいよね
黄色いお花さんも赤いお花さんも両方とも見捨てなくてすむんだぁ
お兄ちゃま、ありがとう
花穂、なんだかホッとしちゃった。



その後、お店から帰る途中、お兄ちゃまが言いました。
「実は僕、花についてはよく知らないんだ。だから、花穂、ときどきでいいから、僕の家に来て、花の世話の手伝いをしてくれないかな?」

それから、花穂のお花さんのお世話も、お兄ちゃまが花穂のお家に来て手伝ってくれるって

お兄ちゃまといっしょにお花さんのお世話
うわぁ、花穂、すっごく楽しみ!

花穂のお花さんとお兄ちゃまのお花さん
花穂たちがいっしょうけんめいお世話するから、元気に育って、キレイに咲いてね


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